これまでの経緯

これまでの経緯をまとめました。
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保護者として単独で奮闘

請願者の長女はマスクをすることができず、マスクをせず学校に通っていました。しかし、マスクをせずに学校に通うことがつらくなり、行かなくなりました。担任、校長、副校長、教育委員会に直接意見やお願いをしても、東京都教育委員会、文部科学省、厚生労働省にも何度も電話し、訴えかけてきても、状況はほとんど改善しませんでした。

請願メンバーが集まったきっかけ

小平市の一人会派の会に所属する伊藤央市議会議員が、コロナ禍における子どものマスクなどによる感染症対策に悩む市民の相談会を開催されていたことから、悩める市民が集まりました。そこに、今回の請願者である小野が長女のマスクでの悩みを訴えたことで市民が再度集まりました。マスクが苦しいのに周りの目が怖くて外せず何度も体調を崩してしまった子の母親、マスク常用の長期的影響を心配する母親、学校でマスクをしているのがつらいと訴える子の母親など、6人のメンバーで活動を始めることになり、まず請願を提出しようという流れになりました。

安竹議員が筆頭紹介議員に

小平市では請願を提出する際に筆頭紹介議員が必要です。筆頭紹介議員というのは、議会活動に慣れない請願者に代わって、委員会審査において細かい説明を行ったり、質疑に答えたり、各会派への説得を行ったりする議員のことです。相談した伊藤議員は請願付託先の生活文教委員会委員長を務めているため紹介議員になることはできません。そこで同じ一人会派の会に所属している安竹洋平議員を紹介してもらいました。安竹議員もコロナ禍での子ども達の状況をとても憂慮していたとのことで、筆頭紹介議員となることを快諾してくれました。

請願書の作成と提出

まず請願書を作成し、議会事務局に提出しました。請願書は、私たちのばらばらした意見を伊藤議員がまとめてたたき台をつくりました。また、請願提出前に、生活者ネットワークの山浦まゆみ議員も賛同し、紹介議員になってくださいました。
なお小平市の場合、請願書の書き方は次のサイトに記載されています。
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/gikai/014/014433.html
署名を集める予定でしたので、署名欄も設けました。小平市では、署名は、直筆もしくは代理で書いた場合は本人の押印があればよいです。その際の押印は三文判で構いません。署名欄つきの請願書は次のようになりました。
https://kodaira-kodomo.com/wp-content/uploads/2022/02/seigan-w-syomeiran.pdf

また、委員会の審査にかかると、請願の文章が変更されることがあります。大きな内容変更があると、それまでにいただいた署名が無効になってしまうこともあります。安竹議員によれば、それを見越して「○○という文言に変わる可能性があります」という一文を入れるのも一つの手だそうです。特に「○○してください」という文は、各会派が賛成できるよう「○○を検討してください」という柔らかい表現に変わる場合が多いそうです。そのため、署名を集める前に、署名欄のすぐ近くに「○○を検討してくださいという表現になる可能性もありますが、ご了承ください」といったことを注記するということです。今回はこれを注記しませんでした。しかし実際に委員会審査の過程で「○○してください」が「○○を検討してください」に変更されました。それまでにもらった署名数がゼロになるか心配したところもありましたが、議会事務局と話した結果、有効にカウントしてもらえることになり安心しました。

各会派への説明資料収集

6人のメンバーが中心となり、各会派への説明用資料の収集を行いました。

各会派の控室を回って説明

請願の説明を行うため、小平市議会にある各会派の控室を回りました。次の会派に集めた資料を手渡しして、それぞれ約30分ずつご説明して回りました。30分では説明しきれない状況でしたが、このときにいただいたご意見や懸念などが、委員会審査のときにも役立ったと思います。

  • 一人会派の会
  • 生活者ネットワーク
  • まちづくり市民こだいら
  • 政和会
  • フォーラム小平と共産党小平市議団
  • 市議会公明党

なお、このとき、紹介議員を出してくださっていた生活者ネットワーク以外の反応はなかなか難しいところでした。それでも、できることをやるしかありません。

子どものための豊かな育ちの会発足・Webサイトオープン

会の名前を「子どものための豊かな育ちの会」と決めました。また、メンバーの一人が、署名のためのWebサイトを構築してくれました(令和4年2月2日時点では次のような内容でした)。
https://web.archive.org/web/20220202152929/https://www.kodaira-kodomo.tokyo/
サイト下部に『署名用紙申し込みフォーム』を設け、そこへご連絡いただいた方に署名用紙を郵送するか、もしくは署名用紙をご自身で印刷していただく、という方法をとりました。小平市議会への請願はオンライン署名が認められていないため、遠方にお住まいで賛同してくださる方も、紙に署名していただいて送付してもらう必要があります。署名用紙をこちらから郵送する場合、返送用の切手と返信用封筒も入れて送りました。ご自分で印刷の場合は、送料はご負担いただくことにしました。なお、小平市在住の方でなくとも署名は有効です。年齢も関係ありませんので、字が書ける年齢であればよいということです。

チャットスペースを用意(Mattermost)

メンバー同士で情報共有の場が必要ということでLINEグループを使っていましたが、セキュリティリスク等を懸念して普段からLINEを使わない安竹議員が独自のチャットスペースを用意してくれました。Slackという企業等で広く使われている情報共有のアプリと同等の機能を持つ、Mattermostというオープンソースのアプリです。メンバー間でのチャット、ファイル共有など、情報共有に必要な機能が揃っているもので、NTTのサーバー上にDockerという仕組みを載せ、その上に構築しているとのことです。新しいサイトのチャットスペースにもこの仕組みが利用されています。

資料作成

生活文教委員会の審査で使うための資料をまとめました。

請願者趣旨説明原稿

小平市議会の委員会審査では、主旨説明という、請願者による説明の機会があります。5分以内で、議員や教育委員会の前で、請願に関する説明を行います。内容は請願メンバーで考え、また、安竹議員にも話す順番や言葉を1つ1つ相談しながら修正し、最後は請願者がまとめ上げました。
請願者による主旨説明の原稿

議員説明原稿

請願者の説明が終わり、質疑が行われた後、議員による説明の時間が設けられています。こちらは5分という制限はなく、時間は無制限です。議員説明の原稿は安竹議員がつくりました。原稿通りに説明するわけではなく、これを基本に、臨機応変に説明を行うスタイルでした。
生活文教委員会での議員説明の原稿

安竹議員が特に強調したかったのは次の箇所とのことです。

教育の現場をどちらの世界にするのか
教育の現場を、分断、憎悪、恐怖の世界にするのか、受容、思いやり、愛に満ちた世界にするのか、どちらを選ぶかという話。委員の皆様にはぜひその点を考えていただきたい。

多様性を認めるということについて
私がこれまで一般質問等で何度もやってきたように、外観からは分からないそれぞれの人の特性がある。大多数に対して少数のという意味の特性ではなく、ここでは「個々人の違い」という意味。発達障害を学んで分かったのは、発達障害というくくりも、医学上診断を出すための分類でしかない。分類に当てはまらない特性、個々人の違いもたくさんあり、私もみなさんも多かれ少なかれ、周りの人も自分でも気づかないような、そして診断しても何にもでないような、なんらかの特性を持っている。感覚過敏もそのうちのひとつで、人それぞれ。外観からは分からず、本人も気づかず、診察を受けても診断が出ないものも多い。人によって程度の差がある。マスクをしたくないという気持ちの背景には、そういった、程度の差こそあれ、マスクができない特性もあるということを想像していただきたい。つまりマスクを一日中何の問題もなくつけられる人とは違う人がいるということを想像し、受け入れて認めること、それこそが多様性を認めるということではないか。学校は多様性の尊重を教えているのではないか。

配布用資料

請願者の主旨説明の際は資料を配布することはできないものの、議員説明の際に、委員会の委員に紙の資料を配布することができます。各会派へ説明に回ったときの資料をもとに、メンバーと協力しながら、新たに情報を追加したり全体をまとめなおしたりしました。最終的に配布したものは次のような資料となりました。
配布用資料

署名活動

署名の数が多いほど審査の場で訴える力を持ち、さらに、署名活動を通じて市民への周知につながるため、大きな意味があるということです。同じ問題意識を持つ市民同士のつながりで署名活動が広がっていくこともあるそうですが、今回はメンバー6人以外はなかなかつながりがないところでした。そこで、まず駅前などで署名活動を行い、同時にWebサイトの方でも署名募集を行うことにしました。

署名活動は、請願者の小野、安竹議員、5人のメンバー、伊藤議員、橋本久雄議員、山浦まゆみ議員、佐藤悦子議員、山崎とも子議員も動いてくださいました。署名活動は度胸と道具さえあればいますぐにでも行えるものです。警察の許可などは要りません。

なお、いただいた署名数が多かったため、議会事務局の計数上の負担とならないよう、ある程度集まったらその都度議会事務局へ提出に行きました。

街頭演説

駅前等の人通りが多い場所で拡声器を使い演説をしながら署名を集める活動です。使用した機材や道具は次の通りです。なお普通の人は持っていないような、拡声器、マイク、のぼり旗は、議員がお持ちのものを使わせていただきました。

ツール備考
拡声器安竹議員や伊藤議員所有のものをお借りしました
マイク安竹議員や伊藤議員所有のものをお借りしました
のぼり旗文字を印刷したシールを無地の旗に貼ったものを使いました
クリップボード100均で購入できます
ペン書きやすいものを100均で購入しました
付箋紙署名いただいた部分を隠すための付箋です。粘着力が強いと、はがす際に署名がはがれてしまうこともあるので注意が必要です
配布用チラシデザインが得意なメンバーが作成。署名いただけなくとも、チラシを渡すことで周知活動に
看板大きな文字で書かれた看板を、自転車に立てかけるなどして掲示しました
署名欄付き請願請願の内容がすべて記載された署名用紙。請願が複数枚に渡る場合、一体になっている必要があるので両面印刷したものを使いました

実施回数は次の通りです。

  • 1月5日(水)13:00~15:00
  • 12日13:00~15:00
  • 14日13:00~15:00
  • 17日13:00~15:00
  • 21日13:00~15:00
  • 24日10:30~12:00
  • 25日10:30~12:00
  • 28日10:30~12:00
  • 31日11:00~12:00
  • 2月1日13:00~15:00

店舗回り

市内の店舗も回りました。街頭での署名活動よりも署名していただける確率は上がります。安竹議員はすべての回で参加され、橋本久雄議員も手伝ってくださいました。お仕事中のお店がほとんどでしたので、対応いただくのが難しかったり、私たちの思いを聞いた上でご賛同いただけないところももちろんありましたが、ほとんどのお店で温かく対応してくださり、多くのお店に署名いただきました。

知り合い回り

メンバー各自で知り合いにお願いしました。安竹議員、山浦まゆみ議員も、知り合いのつながりや相談者のつながりで署名を集めてくださいました。

Webサイト

こちらで説明したサイトにて、全国から署名を集めました。署名の状況等についても、メンバーの一人が頻繁に更新しました。全国から多くの方が賛同し、署名してくださり、あたたかいお手紙もたくさんいただきました。

各会派への根回し

委員会までの間に、判断材料となる資料を各会派に提供するなど、賛成に傾いてくれるよう情報提供等を行うことなどを一般に根回しといいます。会派のあり方や議員の特性など、自治体の議会に応じて根回しのノウハウがあるそうです。会派間で取引のようなことが行われる場合もあるそうですが(あちらに賛成するからこちらにも賛成してくれなど)、そうした取引は一切行っていないとのことです。

請願審査の事前準備

オンライン会議も利用して、想定問答をメンバーと安竹議員で考えてまとめたり、請願者の小野が、趣旨説明の時間を測りながら内容を修正するなどしました。

委員会での審査

全会一致で「採択すべきもの」と決まりました。実際の議決は28日の本会議で行われます。生活文教委員会に委員を出していない会派もありましたが、この時点で小平市議会のすべての議員から、賛成していただけるという承諾をいただいています。この決定が覆ることはほとんどありません。

想定問答集もとても役に立ちました。

教育委員会とのミーティング

2月9日に、請願の採択予定を受け、伊藤議員と橋本議員が教育委員会と話し合いをしてくれました。特にまだ決まったことはないものの、参考になる自治体はあるとのことでした。

新たなサイト・チャットスペースを開設

全国さまざまな方々から多くのご相談をいただいており、今回の請願メンバーと安竹議員とで貢献できることがあればと考えました。そこで、これまでの経緯をまとめたこのサイトと、意見交換ができるチャットスペースを用意しました。

チャットスペースはこちらからご参加いただけます(役割を終えたため令和6年9月に閉鎖しました)。

本会議での採択!

28日の本会議で、全会一致で採択されました!!

ご署名くださった方々、お力添えをいただいた方々、そして賛成してくださった議員の方々、本当にありがとうございます。